2026年のNISAで、オルカンとS&P500を数字で見る

NISAの投資先を考えるとき、多くの人が迷うのが、オルカンかS&P500かです。

この比較で大事なのは、雰囲気ではなく数字です。2025年はオルカンが良く見えた局面があり、2026年も米国外株の見直しが続いています。一方で、S&P500も依然として大きな純資産と高いリターンを持っています。

2026年のNISAで大事なのは、今年どちらが勝っているかだけではなく、20年持てる偏りかどうかです。

まず確認する数字

2026年7月24日時点で確認できる主な数字は次の通りです。ここでは、国内でよく比較される eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)と eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を見ます。

項目

オルカン

S&P500

基準価額

38,243円

44,669円

前日比

-169円(-0.44%)

-301円(-0.67%)

純資産総額

13,205,500百万円(約13.21兆円)

12,542,901百万円(約12.54兆円)

信託報酬率の目安

年0.05775%

年0.0814%

トータルリターン1年

+38.24%

+36.50%

この時点では、1年リターンではオルカンが+38.24%、S&P500が+36.50%です。差は約1.74ポイントで、圧倒的な差というより、かなり近い勝負です。

ただし、信託報酬ではオルカンが年0.05775%、S&P500が年0.0814%です。差は年0.02365ポイントなので短期では小さいですが、NISAのように20年、30年持つ前提では無視しなくていい差です。

2025年末比で見ると、オルカンの見え方が変わる

2025年末から2026年7月24日までの基準価額で見ると、オルカンは33,365円から38,243円へ上がっています。増加率は約14.6%です。

S&P500は、2025年12月30日の39,535円から2026年7月24日の44,669円へ上がっています。増加率は約13.0%です。

項目

2025年末

2026年7月24日

増加率

オルカン

33,365円

38,243円

約+14.6%

S&P500

39,535円

44,669円

約+13.0%

この数字を見ると、2026年途中時点ではオルカンの方が少し良く見えます。ただし、差は1.6ポイント程度です。ここから「S&P500は終わった」と読むのは雑です。

むしろ重要なのは、米国以外の株式が見直される局面では、オルカンがS&P500に劣後しないことがある、という点です。

オルカンとS&P500は、そもそも賭けているものが違う

オルカンは、MSCI ACWIに連動する全世界株式型の商品として理解されることが多いです。MSCI ACWIは先進国と新興国を含む大型・中型株で構成され、世界の投資機会を広くカバーする指数です。

一方、S&P500は米国大型株500社を対象にした指数です。米国企業への集中投資であり、米国経済、米国企業の利益成長、ドル、米国株のバリュエーションに強く影響されます。

投資先

実質的に賭けているもの

強み

弱点

オルカン

世界全体の株式成長

地域分散、米国外の見直しも拾える

米国が圧勝する局面では劣後しやすい

S&P500

米国大型株の成長

収益力、巨大テック、株主還元が強い

米国集中、高PER、ドル円の影響が大きい

つまり、これは単なる商品比較ではありません。世界分散を取るか、米国集中を取るかの選択です。

2026年にオルカンが良く見える理由

2026年途中時点でオルカンが良く見える理由は、米国以外の株式市場が動いているからです。米国外株ETFは2026年7月22日時点で年初来約13.2%上昇しており、米国外への分散が機能している局面があります。

オルカンには、S&P500にはない複数の上昇ルートがあります。

  • 米国株が引き続き伸びる
  • 日本企業の資本効率が改善する
  • 欧州企業の利益率が見直される
  • 中国・新興国経済が底打ちする
  • ドル一極集中が弱まり、米国外へ資金が移る
  • 割安な米国外株のPERが切り上がる

オルカンは米国を持ちながら、米国外の改善も拾えます。ここが、2026年時点で以前より魅力的に見える理由です。

S&P500は高い期待を背負っている

S&P500が弱いわけではありません。むしろ、数字だけ見れば十分強いです。2026年7月24日時点で、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の純資産総額は約12.54兆円、1年トータルリターンは+36.50%です。

ただし、米国株はすでに強い期待を価格に織り込んでいます。S&P500のForward 12カ月PERは約20.5倍とされ、5年平均や10年平均を上回る水準です。つまり、2026年の企業利益成長にも高い期待が置かれています。

これは良い面と悪い面があります。

見方

意味

強い企業利益が続く

S&P500は高い評価を維持しやすい

AI投資が利益に結びつく

巨大テック中心に上昇余地がある

期待ほど利益が伸びない

高PERの修正で下落しやすい

円高になる

円建てS&P500のリターンは削られやすい

良い企業であることと、良い投資対象であることは同じではありません。すでに高い期待が株価に入っている場合、期待どおりの成長では物足りないことがあります。

利下げはS&P500に自動的な追い風ではない

2026年の投資環境でよく出るのが、米国の利下げ期待です。

一般には、利下げは株式に追い風とされます。金利が下がれば、企業の資金調達コストが下がり、将来利益の現在価値も高く評価されやすくなるからです。

しかし、利下げは理由によって意味が変わります。

利下げの理由

株式への見方

インフレが落ち着き、景気も強い

株式には比較的良い

景気後退が見え、企業利益が悪化

利下げでも株価には重い

金融不安への対応

短期的には不安定になりやすい

だから、「利下げが来るならS&P500が伸びる」と単純化しない方がいいです。見るべきなのは、金利そのものより、企業利益、景気、インフレ、バリュエーションです。

NISAでは、短期の勝ち負けで乗り換えない方がいい

NISAは非課税で長く持つ制度です。だからこそ、1年単位の勝ち負けで投資先を乗り換えると、制度の良さを壊しやすいです。

2026年7月24日時点では、1年リターンも2025年末比もオルカンが少し上回っています。ただし、差は数ポイント以内です。ここだけを理由にS&P500からオルカンへ乗り換える、あるいはオルカンからS&P500へ乗り換えるのは、判断として粗いです。

重要なのは、自分がどの偏りなら長く持てるかです。

考え方

向きやすい投資先

米国が今後も世界の利益成長の中心だと思う

S&P500

米国集中のリスクを下げたい

オルカン

迷って売買しそう

オルカン寄り

米国の下落でも買い続けられる

S&P500でもよい

投資判断に時間を使いたくない

オルカン

脱労働のための投資なら、投資判断に時間と精神を取られすぎないことも重要です。NISAの目的は、毎年の勝者を当てることではなく、将来の労働依存を下げることです。

併用するなら、比率を先に決める

オルカンかS&P500かを一つに決めきれないなら、併用もあります。

ただし、併用するときは、気分で買い増すのではなく、先に比率を決めた方がいいです。

配分

意味

オルカン100%

世界分散を優先。迷いを減らす

S&P500 100%

米国集中。強いが偏りも大きい

オルカン70%・S&P500 30%

世界分散を土台に、米国を少し厚くする

オルカン50%・S&P500 50%

実質的に米国比率がかなり高くなる

注意したいのは、オルカンの中にも米国株が多く含まれていることです。オルカンにS&P500を足すと、米国比率はさらに高くなります。

資産額の見通しはシミュレーターで確認する

投資先を選ぶときは、どちらが今年勝つかだけでなく、NISA枠をどのペースで使うかも重要です。

最短で1,800万円を埋めるのか。40代、50代、60代までに満額を目指すのか。満額になった後、追加投資なしでどれくらい育つのか。ここを見ないと、投資先の議論だけが先走ります。

NISA満額後シミュレーターでは、NISAの投資元本1,800万円に到達する年齢と、その後に追加投資なしで運用だけ続ける場合の資産額を試算できます。オルカンかS&P500かを考える前に、まず自分がどのペースでNISA枠を使うのかを確認した方が現実的です。

結論:数字で見ると、2026年はオルカンの魅力が増した年

2026年7月24日時点の数字では、オルカンは基準価額38,243円、純資産約13.21兆円、1年リターン+38.24%。S&P500は基準価額44,669円、純資産約12.54兆円、1年リターン+36.50%です。

2025年末比でも、オルカンは約+14.6%、S&P500は約+13.0%です。短期ではオルカンが少し良く見えます。

ただし、この差だけで投資先を乗り換えるほどの決定的な差ではありません。S&P500は期待値が高い代わりに、期待どおりなら強い。オルカンは期待値が低い地域も持つため、上振れの入口が多い。

NISAで長期積立するなら、2025年や2026年の短期成績だけで乗り換えるより、自分が20年持てる偏りを選ぶ方が重要です。迷いを減らしたいならオルカン、米国集中を受け入れられるならS&P500。脱労働のための資産形成では、勝者当てより、続けられる設計の方が価値があります。