今回は、5つの条件だけで考える

老後の生活費から年金を差し引き、残りを補うための資産を考えます。条件は、投資額、投資年数、老後の期間、年金、生活費の5つです。

生活費

月15万円

年金

月8万円

老後期間

65〜95歳

想定利回り

年5%

年5%は計算上の前提であり、将来の運用結果を保証するものではありません。税金、手数料、インフレ、取り崩し中の運用は今回の計算に含めません。

生活費を月15万円とする理由

総務省「家計調査」の65歳以上の単身無職世帯では、2024年の消費支出が月約14.9万円でした。今回は計算を分かりやすくするため、これを15万円に丸めます。

ただし、この平均には持ち家世帯も含まれます。老後も賃貸住宅に住む場合や、医療・介護費が多くかかる場合は、15万円より高い生活費で計算する必要があります。

年金を月8万円とする理由

月8万円は全国平均ではなく、加入条件を置いたモデル値です。2026年度の老齢基礎年金の満額は年81万6,000円、月額では6万8,000円です。

これに、平均標準報酬額30万円で厚生年金へ7年間加入した場合の報酬比例部分を加えます。

30万円 × 5.481 ÷ 1000 × 84か月 ≒ 年13万8,000円

月額に直すと約1万1,500円です。基礎年金約6万8,000円と合わせると月約7万9,500円となるため、この記事では8万円に丸めます。

20歳から60歳まで国民年金を納付し、そのうち7年間は厚生年金にも加入した想定です。実際の受給額は、加入期間、報酬、免除・未納期間などによって変わります。

老後30年間で不足するのは2,520万円

毎月の不足額:15万円 − 8万円 = 7万円

30年間の不足額:7万円 × 12か月 × 30年 = 2,520万円

ここからは「2,520万円を作るには月いくら必要か」と逆算するのではなく、毎月の積立額によって65歳時点の資産がいくらになり、2,520万円とどれだけ差が出るかを比較します。

積立額と年数で、65歳時点の資産はどう変わるか

毎月末に同額を積み立て、年5%で複利運用した場合の試算です。括弧内は、老後の不足額2,520万円との差です。

開始年齢

月1万円

月2万円

月3万円

月5万円

25歳

1,526万円(−994万円)

3,052万円(+532万円)

4,578万円(+2,058万円)

7,630万円(+5,110万円)

35歳

832万円(−1,688万円)

1,665万円(−855万円)

2,497万円(−23万円)

4,161万円(+1,641万円)

45歳

411万円(−2,109万円)

822万円(−1,698万円)

1,233万円(−1,287万円)

2,055万円(−465万円)

同じ積立額でも、始める年齢で差が大きくなる

25歳からなら月2万円で約3,052万円となり、今回の不足額を約532万円上回ります。35歳から月3万円では約2,497万円となり、不足額との差は約23万円です。

一方、45歳からは月5万円でも約2,055万円で、約465万円不足します。積立開始が遅い場合は、毎月の投資額を増やすだけでなく、生活費、年金受給額、働く年数のいずれかも合わせて考える必要があります。

働く量を減らすなら、投資を続けられる収入を確認する

完全に働かないための資産を、先にすべて作る必要があるとは限りません。今の生活費を払いながら、自分の年齢に応じた積立を続けられる収入を残せるなら、働く時間を減らせる余地があります。

重要なのは、月3万円という一つの数字を正解にすることではありません。自分の生活費、年金見込み額、投資できる年数を置き直し、今の時間と将来の不足額を同じ表で見ることです。