副業をしたい正社員は、実際にしている人より多い

総務省の2022年就業構造基本調査では、非農林業従事者のうち副業がある人は305万人で、2017年から60万人増えました。

正規の職員・従業員に限ると、副業をしている人の割合は2.5%です。一方、追加で仕事をしたい人の割合は7.7%でした。興味や必要性はあっても、時間、勤務先の規則、疲労などが壁になり、実行まで進めない人が多いと考えられます。

この記事では、副業を長く続けて収入源を増やす方法ではなく、正社員を続けながら週1日だけアルバイトをし、1年で終了する方法を考えます。

目的は副業を増やすことではなく、将来の労働量を減らすための資金を、期限付きで作ることです。

週1バイトが向いている人

この方法が向いているのは、すぐに収入を増やす必要があり、成果が出るまで時間のかかる事業型の副業を待ちにくい人です。

  • 退職前に生活防衛資金を増やしたい
  • 借金や分割払いを早く終わらせたい
  • 引っ越しなど、固定費削減の初期費用を作りたい
  • 将来、週5日から週4日勤務へ移るための補填資金がほしい
  • 本業以外の職場でも働けるか、小さく試したい

一方、すでに本業で長時間労働をしている人、睡眠や休日を削らなければ時間を作れない人には向きません。収入が増えても、本業を休職・退職するほど体調を崩せば逆効果です。

期限なしの副業バイトは、脱労働から遠ざかる

アルバイトは、働いた時間に応じて収入を得る方法です。始めればすぐ収入になりやすい反面、基本的には時間の切り売りであり、仕事を止めれば収入も止まります。

正社員の仕事に加えて、毎週の休日まで勤務日にすると、自由時間は確実に減ります。疲労によって外食、タクシー、マッサージ、衝動買いなどが増えれば、見かけの時給ほどお金は残りません。

そのため、始める前に次の4つを決めます。

  1. 終了日:開始から12か月後
  2. 目標額:60万円
  3. 資金用途:生活防衛、固定費削減、投資、勤務日数削減のいずれか
  4. 撤退条件:睡眠、本業の評価、体調の悪化が一定期間続いたら終了

週1日で月5万円を確保する試算

例として、時給1,600円のアルバイトを週1日、1日8時間行う条件を置きます。1年を52週として月平均へ直しています。

時給

1,600円

勤務時間

週8時間

月平均の勤務時間

約34.7時間

月平均の給与収入

約5万5,500円

追加の食費等

1勤務500円、月約2,200円

税引前に残る額

月約5万3,300円

通勤を往復1時間とすると、拘束時間は月約39時間です。追加支出を引いた金額を拘束時間で割ると、実質時給は約1,370円になります。

交通費、制服、仕事後の食費、疲労によって増えた支出も記録します。税金は本業の年収や控除によって変わるため、この表には含めていません。実際に毎月5万円を残すには、税負担も見込んで時給や勤務時間を調整する必要があります。

1年間で作った60万円を何に使うか

ここからは、毎月5万円を12か月確保し、合計60万円を作れた場合を比較します。

使い道

60万円で得られるもの

向いている状況

生活防衛資金

生活費15万円なら4か月分

退職や休職前の現金が少ない

借金返済

元本60万円と将来の利息を減らす

高金利の残高がある

固定費削減

引っ越し等の初期費用に充てる

家賃や車の費用を下げられる

積立投資

月5万円を1年間投資

当面使わない資金を長期運用できる

週休3日への移行資金

手取り減が月5万円なら12か月分

勤務日数を減らす交渉ができる

固定費削減は、60万円そのものを使い切ることが目的ではありません。例えば引っ越しに30万円かかっても、家賃を月1万5,000円下げられれば、20か月で初期費用を回収し、その後も毎月の必要収入を減らせます。

週休3日へ移ると手取りが月5万円減る場合、60万円は1年間の補填資金になります。その1年間で生活費を調整し、週4日勤務の収入だけで暮らせる状態を作れれば、短期の兼業が長期の自由時間へ変わります。

全額投資した場合、すぐには週休3日を買えない

月5万円を1年間積み立て、その後は追加投資をせず年5%で運用した場合、1年後は約61万円、10年後は約96万円、20年後は約158万円、30年後は約261万円です。

長期では複利の効果がありますが、60万円を投資しただけで、すぐに毎月5万円の収入が生まれるわけではありません。週休3日を近い時期に実現したいなら、投資だけでなく、生活防衛資金や固定費削減へ回す方が直接的な場合があります。

投資する場合も、1年後に退職や勤務日数削減で使う予定の資金まで値動きのある商品へ入れるのは慎重に考える必要があります。

バイト選びでは、時給以外も確認する

本業と同じ種類の仕事を選ぶと、経験を生かしやすい反面、同じ精神的疲労が重なることがあります。デスクワークの本業なら体を動かす仕事、対人対応の多い本業なら一人で進めやすい仕事など、疲労の種類を分散できるかも判断材料です。

ただし、体力仕事を選べば疲れないという意味ではありません。試用期間の1か月は、給与よりも睡眠時間、本業の集中力、休日に回復できているかを確認します。

始める前に確認する制度

勤務先の就業規則と届出

厚生労働省は副業・兼業のガイドライン、モデル就業規則、届出様式例を公開しています。ただし、すべての会社で無条件に副業できるわけではありません。本業の就業規則、許可・届出制度、競業避止や秘密保持の条件を先に確認します。

勤務先をまたぐ労働時間

雇用される形で掛け持ちする場合は、副業・兼業先をまたいだ労働時間の通算が論点になります。厚生労働省も通算方法と管理モデルの資料を公開しています。本業とバイト先の両方へ、必要な勤務情報を正しく申告します。

確定申告

アルバイト代も給与所得です。給与を2か所以上から受け、年末調整されなかった給与収入などの合計が20万円を超える場合は、原則として所得税の確定申告が必要です。ただし例外条件があり、所得税の申告が不要でも住民税の申告が必要になる場合があるため、自治体の案内も確認します。

2026年10月の社会保険変更

短時間労働者の社会保険では、現在、週20時間以上、学生ではないこと、所定内賃金が月8万8,000円以上であることなどが加入要件です。日本年金機構は、月8万8,000円以上という賃金要件を2026年10月に撤廃予定と案内しています。

ただし、今回の週1日・8時間という例は週20時間未満です。賃金要件がなくなっても、それだけで直ちに副業先の社会保険へ加入するわけではありません。契約時間や勤務先の適用条件が異なる場合は個別に確認が必要です。

1年で卒業するための月次確認

毎月、収入だけでなく次の数字を記録します。

  • 給与収入と税金用に残した金額
  • 交通費、食費、回復のために増えた支出
  • 通勤を含む拘束時間と実質時給
  • 平均睡眠時間と体調
  • 本業の遅刻、欠勤、ミスの変化
  • 目標60万円までの残額

3か月ごとに継続を判断し、12か月に達したら目標額に届いていなくても一度終了します。延長を前提にすると、期限付き戦略ではなく、休日を恒常的に売る働き方へ変わりやすいためです。

アルバイトを増やす目的は、アルバイトを辞めること

正社員とアルバイトを掛け持ちすること自体は、脱労働ではありません。自由時間は減り、疲労も増えます。

それでも、終了日、目標金額、使い道、撤退条件が決まっていれば、1年間の追加労働を、生活防衛資金、固定費削減、週休3日への移行期間へ変えられます。

短期的に労働を増やすなら、その目的は長く働き続けることではなく、将来の必要労働時間を減らすことです。